
【セミナーレポート】よなよなエール×BAKE×Cake.jpの3社が語る! 急成長するギフトECの最新トレンドと成功戦略
2025年2月26日・27日に東京ビッグサイトで開催された「イーコマースフェア東京2025」にて、ギフトECをテーマにしたセミナーセッションが行われました。
MIKATA株式会社事業統括部 部長代行 メディアDXコンテンツ課 DX推進チーム課長 吉見伸太郎氏がモデレーターを務め、株式会社ヤッホーブルーイング YES!通販団 星組 Unit Director 植野 浩樹氏と、株式会社BAKE 取締役兼CBO 北村萌氏、株式会社Cake.jpの代表取締役社長 高橋優貴が登壇し、各社の具体的な取り組みから成長戦略まで語られました。
本記事では、当日のセッション内容をレポート形式でご紹介していきます。
目次
ギフトECがなぜ伸びているのか?
まずは、モデレーターの吉見氏より、近年のギフトECの動向について紹介がありました。
吉見氏「2024年12月にオンラインギフト総研が行った調査によると、ギフト購入場所の首位は百貨店・実店舗より総合ECサイトが上回る結果となり、従来のギフト市場から移行しているという結果が出ています。
さらにギフトECの成長を後押しするソーシャルギフトの利用率はコロナ前後で10%アップしているということもわかりました。」
この成長を後押ししているのが「LINEギフト」の登場だと高橋は話します。
高橋「ギフトECが伸びた背景には『LINEギフト』によるUXのアップデートが大きな影響をもたらしていると思います。今までのギフトの常識は、直接手渡しだったかと思いますが、ソーシャルギフトが登場したことにより、直接渡さずにギフトを贈ることができます。さらには、住所や連絡先を知らない相手でもSNSで贈ることができちゃいますからね。
これにより、『ギフトを贈る』ことへのハードルが下がってきました。気軽にギフトを贈りあえる文化が醸成されつつあります。」
よなよなエール、パーソナルギフトの需要が伸張
続いて、植野氏による、よなよなエールの取り組み事例の紹介がありました。
植野氏「よなよなエールでは、父の日や誕生日といったパーソナルギフトの需要が伸びています。ビールはお中元やお歳暮といったシーズナルギフトのイメージが強いですが、先ほどの高橋さんからもお話があったように、LINEギフトが登場したことで、気軽にギフトを贈りあえる文化が醸成されたことが関係しているのだと思います。2023年のデータでは、飲料部門でTOP3にランクインしました。」
そこで、パーソナルギフトの商品開発を強化していると植野氏は話します。
植野氏「6種類の飲み比べセットといった比較的小さめのパッケージのものをご用意し、価格帯も抑えることで、カジュアルなギフトにお使いいただきやすいラインナップを増やしました。
また、ギフトを贈るきっかけをつくるといった取り組みも行っておりまして、それが『隠れ節目祝い』シリーズです。就職・結婚・出産といった一般的に認識されている人生の節目だけでなく、実は祝いたくなるような隠れた節目がいくつもあって、そこに光をあてることでささやかな幸せをお届けできるのではないか、という想いのもと企画を始めました。『卒乳してビール飲めるねセット』はSNSでも多くの方に話題にしていただきました。」
まさに潜在的なニーズ発掘による成功事例ですが、よなよなエールではギフトニーズのリサーチをどのように行っているのでしょうか。
植野氏「商品にお付けする『選べるメッセージカード』でニーズを把握し、ニーズが多いギフトシーン専用の商品開発を行うという流れをとっています。」
また、LINE独自の診断コンテンツやプレゼントキャンペーンなど、LINEギフト内の注目度を高めるプロモーション施策も積極的に行っているという取り組みもご紹介いただきました。
BAKE、ギフトブランドの創出やeギフト専用商品を開発
続いて、北村氏によるBAKEの取り組み事例の紹介がありました。
北村氏「BAKEでは2023年からeギフトを導入しました。1年での成長率は300%以上です。その理由は2つあります。
1つ目は、ユニークなギフトブランドの創出です。BAKEは創業以来「1ブランド=1プロダクト」の専門店業態・工場一体型というビジネスモデルで拡大してきましたが、デジタルシフトが進みさらに、コロナウイルスの流行がそれを後押ししました。BAKEでもコロナ以降、OMO施策を進めるなど、今の時代に沿った対応をしてきましたが、その中で「今の時代に合ったBAKEらしいブランド」を出したいという思いから、オンラインをメインに展開するブランド「架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』をローンチしました。
多くのオンライン・D2Cブランドが台頭する中、この時代にお客様に選んでいただくために必要なことをみんなで話し合い、でてきたのが『Immersive(没入)』というキーワードでした。そこで決まったコンセプトが『北海道の素材にこだわった、アートなお菓子作りにひとびとが「うつつをぬかす」洋菓子店』です。北海道のどこかの地に建つマンションの1階に入っているのが『しろいし洋菓子店』。上階には個性豊かな住人が住んでいて、その住人の物語をモチーフにしたお菓子を『しろいし洋菓子店』で展開しています。ブランドサイトや缶のデザインとクッキーで世界観を表現し、これが、店頭体験に変わるカスタマーエクスペリエンスを提供することができました。
こうしたオンラインならではのブランドづくりにより、『しろいし洋菓子店』のクッキー缶は、eギフトで売上1位をマークしています。」
2つ目は、eギフト、とくにLINEギフト専用の商品開発を行ったことだと北村氏は話します。
北村氏「ギフト需要に合わせた限定パッケージやお祝いシーン(誕生日など)の商品を販売することで、店舗との差別化した限定缶のある商品を作り、新たな顧客の開拓に成功しています。」
さらに、eギフトのさらなる成長にむけて取り組んでいることの紹介がありました。
北村氏「お相手の好みがわからない場合のニーズにお応えするべく『商品を選べるeギフト』や『写真付きメッセージカード』にできる機能や、複数お届け先の一括決済ができる機能を拡充しました。eギフト付帯サービスを充実させ、さらなる売上向上を図っていきたいと思います。」
Cake.jp、手渡しギフトとギフトECの違いとは
最後はCake.jpの高橋より、モールの立場から、手渡しギフトとギフトECで求められているギフトの要素、その違いについて見解が述べられました。
高橋「手渡しする時のギフトに求められていることは、次のことがあげられます。
・渡しやすいもの
・持ち運びやすいもの
・ラッピング
・手提げ袋
これらがそろってないと、渡しづらいなと感じたことはありませんか?
ギフトECの場合はどうでしょうか。
・日常用途の商品、極論、楽天市場で買えるものはすべてギフトになりえる
・リアル店舗の商品、例えば、スターバックスやコンビニでつかえるeギフト
・体験、例えば、宿泊券や美容施設で使えるチケット
以上のような今までギフトになりえなかったものがギフトになります。つまりその分、ギフト市場は拡大しているといえます。
また、eギフトの文化が浸透しつつあります。これは、モール系ECに限った話ではなく、独自サイトにもこの流れは波及していきます。今から独自サイトにも対応できるよう動いていく必要があります。」
ギフトECに必要なこと=集客
売上を伸ばすためには、とにかく集客力を高めることが大切です。
集客力の強さという面では、いわゆる総合モールといわれるさまざまな商材を扱う「楽天市場」「Amazon」「LINEギフト」があげられますが、その中で独自サイトやCake.jpのような領域特化型のECサイトはどのように集客力を高めていくべきでしょうか。
Cake.jpの事例をもとに紹介します。
高橋「Cake.jpが注力していることは、膨大なコストをかけて派手なプロモーションをすることでもなく、メディアバイイングすることでもなく、『商品開発』です。
SNSが浸透してきたことで、いいものはユーザーが勝手に広げてくれるという土壌ができています。
ユーザーが話題にしたくなるようなパッケージやデザインにこだわったり、Cake.jpで近年うまくいっている事例としては、ファンの熱量が高いIP(知的財産)とコラボレーションした商品開発です。」
IPとコラボレーションした商品開発はどのような結果をもたらしているのでしょうか。
高橋「IPとコラボレーションした商品は、SNSで定常的に拡散し、ユーザーとの接触頻度が高まることで、オーガニックな流入が増加しています。副次的な効果としては、既存のプロモーションのCPAを1/3程度に収めることができています。
SNSでの拡散はECへの集客はもちろんのこと、リアル店舗への集客にも効果があります。
Cake.jpが現在全国50か所以上で実施している「名作絵本のクッキー缶セレクション」の売上も集客が左右しており、SNSでの拡散が生まれる商品ラインナップになっているか、売り場づくりになっているかは意識しています。」
今後は店舗のお悩みを解決するソリューションを提供していく
本セミナーセッションでは、3社それぞれの今後の展望について話がなされました。ここではCake.jpの今後の展望のみ切り出してご紹介します。
高橋「今後は、店舗を取り巻く様々な課題を解決するソリューションを提供していきたいと思っています。売り上げを伸ばすための販促支援や商品企画やモバイルオーダー、人手不足を解決するための人材採用やM&A仲介、コスト削減のための材料発注システムなど、課題ごとにソリューションを用意していきます。
大手洋菓子メーカーからもEC、SNSや駅空港でのギフトの売り上げを伸ばしたいと相談いただくケースが増えてきています。ぜひディスカッションしながら、お手伝いできればと思います。」
◆まとめ
今注目を集めるギフトECについて、よなよなエール×BAKE×Cake.jp3社の事例を交えながら売り伸ばしていくための方法を中心に本セミナーセッションで話がなされました。各社の事例で紹介された通り、集客のための商品開発が要となります。Cake.jpでは、IPとのコラボレーション商品の企画立案やデザインのご提案から商品開発後のプロモーションまで一貫してご一緒することが可能です。
もしご興味ございましたら、以下のお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。