
暑さを忘れるためだけの、選択肢ではない。涼やかなラウンジでかき氷を楽しみ、冷たい余韻を抱えたまま、緑の深い庭園へ――。
夏という季節の美しさを、五感でゆっくりと味わうひととき。ホテル椿山荘東京のかき氷は、夏をより愛するための、贅沢なお茶時間へと誘ってくれた。

今回足を運んだのは、ホテル椿山荘東京のロビーラウンジ「ル・ジャルダン」。アフタヌーンティーでも知られるこのラウンジに、今年初めてかき氷が登場したという。
都心でありながら、森のように深い庭園が広がるホテル椿山荘東京。春は桜、初夏は蛍、秋は紅葉ーー。季節の移ろいを大切にしてきた場所だからこそ、夏もまた、その季節ならではの楽しみを届けたいという思いがあったのだとか。
目次
ひと匙ごとに違う味わい “デザート仕立て”のかき氷
「ル・ジャルダン」で登場したかき氷は、「いちごと桃」と「淡雪ティラミス」の2種類(単品3,200円、コーヒー・紅茶付き4,600円、別途サービス料15%)。
どちらも“かき氷”という名前でありながら、氷の上にシロップをかけただけのものではない。ジェラートやジュレ、クリーム、ゼリー、メレンゲなどが重なり、スプーンを入れる場所によって、味も香りも食感も少しずつ変わっていく“デザート仕立て”が特徴。

紅茶と楽しむ「いちごと桃」

やわらかなピンク色をまとった「いちごと桃」は、見た目の華やかさからも心が弾む一皿。スプーンを入れると、ひと匙ごとにさまざまな表情が現れる。

クランブルのさくさくとした食感。エルダーフラワーのやさしい香り。口のなかで淡くほどけていく氷の冷たさ。

桃のコンポートに隠れたミントの余韻を追いかけるように、別添えのソースからはローズの香りがふわりと広がる。
アフタヌーンティーにも負けない華やかさがあり、友人とおしゃべりをしながら、ゆっくり味わいたくなる一皿。
コーヒーと味わいたい「淡雪ティラミス」

一方で、一口食べて驚いたのは「淡雪ティラミス」。
コーヒーのほろ苦さ、カカオの香り、マスカルポーネのまろやかさ。ティラミスらしい要素が、どれも欠けずに揃っていて、かき氷というよりも、冷たいティラミスを少しずつ食べているよう。
そもそもティラミスは、とてもクリーミーなデザート。その味を氷で再現するのは非常に難しく、ソースのかけ方やパーツの組み立てには、パティシエさんの技術が詰め込まれているそう。
食べ進めても、ティラミスらしさがぼやけない。コーヒーゼリーのつるんとした食感、メレンゲのさくっとした軽さ、ビターな余韻が重なり、ひと匙ごとに少しずつ深みが増していく。

甘いものが好きな人には「いちごと桃」を。少しビターな味わいが好きな人には「淡雪ティラミス」を。
迷ってしまうなら、誰かと一緒に訪れて、ふたつを食べ比べてみるのもきっと楽しい。
冷たい余韻を抱えて、夏の庭園へ

かき氷を味わったら、散歩をしに庭園へ。
ホテル椿山荘東京の庭園は、都心にいることを忘れてしまうほど緑が深い。ラウンジで涼んだ体で外へ出ると、肌にそっと触れてくる空気が、より“夏”を感じさせる。


7月からは、庭園名物の、霧が庭園を包む「東京雲海」の演出が、さらに表情豊かになったのだとか。かき氷で涼を味わったあとに眺める雲海は、夏の午後を少し幻想的なものに変えてくれる。

街のかき氷専門店や夏祭りで味わう一杯とは、また違う。少し背筋を伸ばしたくなるラウンジの美しい空間。これまで食べた、どのかき氷より“デザート”という言葉が似合う一杯。涼菓で冷えた体にそっと寄り添う、温かな紅茶。そして、夏の景色を鮮やかに映す、緑深い庭園。そのひとつひとつが重なり、この夏の1日を、美しい記憶として心に刻んでくれる。
――ひと匙ごとに、“夏”が満ちていく。
そんな涼やかな余韻を残す、優雅な夏のお茶時間だった。

ホテル椿山荘東京 ロビーラウンジ「ル・ジャルダン」 サロン
所在:東京都文京区関口2-10-8
期間 2026年6月6日(土)~9月27日(日)※土日祝限定
営業時間:11:00~17:00
https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/
文=山田志桜里 写真=佐藤 亘

