
まだまだ夏の余韻が残るころ。まもなく始まるクリスマスケーキの予約シーズンを前に、ホテルやパティスリーでは、ひと足早く聖夜の準備が進んでいます。
今年、クリスマスコレクションを全面的に一新した「ハイアット リージェンシー 横浜」。ホテル初となるクリスマスケーキのメディア発表会で、4種類のケーキと、ドイツの伝統菓子「シュトーレン」がお披露目されました。
その華やかな佇まいはもちろん、その奥に込められたシェフの細やかな工夫にも目を向けながら、2026年のラインナップをご紹介します。
※2026年10月1日(木)より予約受付開始。
目次
新たに生まれ変わったクリスマスコレクション

ハイアット リージェンシー 横浜のクリスマスコレクションを手がけたのは、生野剛哉ペストリーシェフが率いる11名のペストリーチーム。
これまでは2種類の展開でしたが、2026年は5種類へとラインナップが広がりました。その背景にあるのは、客室や景色、レストランでの食事だけでなく、「おいしいお菓子を食べるなら山下町」と思い出してもらえるホテルでありたい、という生野シェフの思いです。
さらに大切にしているのが、若いパティシエたちへ経験をつないでいくことだといいます。11名のチームのうち、なんと9名は新卒社員。試作や失敗の過程も共有しながら、全員で試行錯誤しながら完成へと近づいてきたのだそう。
そうして生まれたのが、生野シェフが「クオリティの高さは、横浜ナンバーワン」と胸を張る、今年のクリスマスコレクション。
華やかな一台一台の向こう側にある物語にも思いを馳せながら、ひとつずつご紹介していきましょう。
嘉山農園の苺ショートケーキ|ホテルの定番・王道の一品

まずは、クリスマスケーキの王道ともいえるショートケーキ。
オーナメントには変化を加えながらも、デザインそのものは約20年にわたり大きく変えていないという、ホテルを代表する一台です。
使われている苺は、横須賀・長井の嘉山農園で育てられた「とちおとめ」。豊かな香りとほどよい酸味がショートケーキととても相性がよく、「クリスマスのショートケーキは、必ずこの苺で」と生野シェフが惚れ込んでいる特別な存在なのだそう。
シンプルで定番の味わいだからこそ、ごまかしがきかないのショートケーキ。苺、生クリーム、スポンジ。ひとつひとつの素材のおいしさがきちんと伝わるよう、生野シェフがこだわりを持って仕上げた一品です。
プラリネ・ピスターシュ:異なる味・食感の調和が楽しい

生野シェフが開発したシグニチャーケーキ「シシリアン」から着想を得て、クリスマスのために仕立てられた一台。雪のなかを駆け抜けるソリを思わせる繊細なオーナメントも、もちろんすべて手作りです。
香ばしいピスタチオムースのなかには、深いコクをもつアーモンドプラリネと、リキュールに漬け込んだ甘酸っぱいチェリー。サクッとしたビスキュイ、やわらかくほどけるヌガー、しっとりとしたダグワーズと、異なる食感が何層にも重なります。

なかでも生野シェフが試行錯誤したというのが、底に敷かれたピスタチオのダグワーズの厚み。なめらかな口溶けのムースだけで終わらせず、あえて「噛む」という感覚を残すことで、“食べる楽しみ”を演出したそう。
フォークを進めるたびに異なる表情が現れ、食感まで含めてひとつのケーキが完成していることを感じさせてくれます。
ショコラ・アプリコ・アマレット:主役は杏とアマレット

艶やかなショコラの姿から想像するのは、濃厚なチョコレートの味。ですが、生野シェフがこのケーキの主役に据えたのは、ショコラではなく「アプリコット」と「アマレット」です。
果肉感を残したアプリコットのコンフィを忍ばせたショコラタルトに、なめらかなチョコレートガナッシュとムース、そしてアマレットのクレームが重ねられています。

ムースだけを口にすれば、確かに主役はショコラ。ところが、タルトからクリームまでをひと口に重ねてみると、アプリコットの甘酸っぱさと、アマレットの芳醇な香りが前へと現れ、ショコラはそれらを包み込むような存在に。
上半分は、舌の上ですっとほどけるようになめらかなムース。対して下半分には、サクッとしたタルトの確かな食感が。趣の異なるふたつのケーキを重ね合わせ、ひとつの味わいへと仕立てるため、今年のコレクションのなかでも一番制作時間がかかったといいます。
時間をかけて磨き上げられたからこその、奥行きある味わいを楽しめる一台です。
ロゼ・フランボワーズ:横浜の花“バラ”を表現

鮮やかな赤、そしてペーパークラフトのようなトナカイが目を引くこちら。横浜市の花である「バラ」をモチーフにした、生野シェフ曰く、今回のコレクションのなかで“一番マニアック”な一台です。
底に重なるのは、ワインを思わせる風味をまとった濃厚なチーズの層。そこへ甘酸っぱいラズベリーと、やさしい甘さのホワイトチョコレートムースが重なります。

そして、その間にそっと忍ばせてあるのが、バラのコンフィ。ケーキの外側へむかうほど厚く塗られており、食べ進めるほどにバラが香っていく、香りの強弱も楽しめるという、生野シェフの工夫が光ります。
40年以上のパティシエとして歩んできた生野シェフが、“自分自身が食べて驚ける味”を目指して完成したという印象深い味わいを体感できます。
シュトーレン:香り・味の変化を楽しんで

ドイツの伝統的なクリスマス菓子「シュトーレン」。
生地にはドライフルーツと数種類のスパイスが練り込まれ、口当たりはしっとり。フルーツのやわらかな甘みの奥から、複雑なスパイスの香りがゆっくりと広がります。
おいしいからこそ、つい贅沢に厚く切り、数日で食べ切ってしまいたくなりますが、生野シェフがおすすめするのは、薄く切り分けながら1か月ほどかけて少しずつ“味の変化”を楽しむこと。日を重ねるにつれて生地とフルーツ、スパイスがなじみ、そのときどきで異なる表情を楽しめるのも、シュトーレンならではです。
ご自宅で楽しむのはもちろん、季節のご挨拶に贈りたくなる一品です。
一年に一度のクリスマスを、記憶に残るケーキとともに

長く愛されてきた王道のショートケーキから、意外な素材の組み合わせや、幾重にも重なる食感を楽しむ新作まで。
2026年のハイアット リージェンシー 横浜のクリスマスコレクションには、生野シェフがパティシエとして積み重ねてきた確かな技術と、今もなお新しい味わいを探し続ける遊び心が詰まっているように感じました。
発表会で実際に試食をしたあとも、どれかひとつを選ぶとなると迷ってしまうほど、それぞれに忘れがたい魅力があります。けれど、こうして「今年はどのケーキにしよう」と思いを巡らせる時間もまた、クリスマスを待つ楽しみのひとつなのかもしれません。
一年に一度、家族や友人、大切な人と囲むクリスマスの食卓に。
あとから思い返したときにも心に残る、とっておきの一台を選んでみてはいかがでしょうか。
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